皆さんは子どもが失敗したとき、どんなふうに声をかけていますか?私はついつい失敗しないように“間違っているよ!”と、正しい方法を教えていました。すると、子どもは自分でチャレンジをしなくなってしまったのです。そこで私が気がついた対策方法をお伝えしますね。
失敗は成功のもと失敗には意味がある。手助けはNG
お子さんが1つのことを成功できる為のその裏側にはどれくらいの失敗を重ねているでしょうか?
小さな成功体験の裏側に、“実は失敗談エピソードが山ほどあります”という方は少なくないようです。
失敗しそうだからと言ってお母さんが先回りしてやってしまうと、やがて「お母さんがやって」と言い出すようになるでしょう。
失敗しないための工夫を自分でできるように育てるには、お母さんが手助けをせずに見守ることが鍵となります。
ちょっと痛い経験が失敗の乗り越え方を学ぶチャンス
子どもがヨチヨチと歩き始めた頃、心配で後ろからくっついて追いかけた経験はありませんか?
私は子どもがバランスを崩して尻もちをつく前に手助けをした事があり、ハッと気づいたことがあります。
それは、いつも危ないからと先回りをして助けていると「この子は転んだ時の立ち直り方を知らないまま成長してしまうのではないか?」ということです。
それからは軽く尻もちをつく程度なら、観察しながら待つことにしました。
その結果子どもは段々とですが一人で立ち上がれるようになり、尻もちをつく前にバランスがとれるようになったのです。
100%の危険を防ぐのは難しいかもしれませんが、できる限りの安全を配慮してチャレンジさせてあげると良いでしょう。
痛みの経験は“小さいころに!”がポイント
5歳児クラスのあっくんが、公園でかなり大きなジャングルジムのてっぺんから飛び降りようとしたことがあります。危険なことなので、お母さんにおうちでの様子をお聞きしました。
するとあっくんは小さい頃から、軽い危険を伴う経験を積み重ねていないことが分かりました。
いつもお母さんが、危ないことや失敗しそうな時は手助けをしてきたそうです。あっくんには“恐怖心”が育っていなかったのです。
高さという感覚や高いことが怖いという感覚は、もっと小さい頃に階段を上ったり下りたりするだけでも身につくでしょう。
しかし、あっくんはすでに5歳です。階段の上り下りでは簡単すぎるので、跳び箱を使って高い所での安全な動きを体験していきました。
少しずつ高く積み上げたので滑って落ちたとき用にマットを敷いたり、必ずそばに保育者がついたりしながら安全も保てるように考慮しました。多少の尻もち程度の痛みも経験したあっくんは、高い所での安全な動きを覚え危険行為もなくなりました。
更にお友だちの痛みにも共感できるようになったのです。
この体験から、高さの感覚を持たない子がそのまま中高生になったとしたらどうなるかな?と考えた時、悪ふざけのつもりで命が危険にさらされるようなことをやるかもしれない?!とどきっとしました。なるべく小さい頃に、安全を考慮して環境を整えてあげようと強く思いました。子供たちが失敗する機会はしっかり見守り、自分で乗り越える力を体験させたいですね。
答えを自分で出せるようにコーチングの質問方法を使って考える力を養おう
失敗するかもしれないことを想定して
「ジャングルジムは2段目までね」
「ブランコの立ちこぎは2年生からよ」
「落ちないように座りましょう」
といったルールや失敗に対しての答えを最初から教えることを“ティーチング”と呼んでいます。
時と場合によってティーチングで教えることも必要ですが、失敗を乗り越えられる子に育てたいときには“コーチング”の手法を使うと良いでしょう。
「どうしたら滑らないかな?・次はどうしたら痛くないかな?」と質問してみてください。大切なのは正解を教えるのではなく、失敗に対して“どれだけ改善策を考えられたか?”がポイントです。
きっと子どもなりに色々な案を出して工夫し、自分の力でコツやポイントを覚えていくことでしょう。考える力や諦めない力をどんどん身につけるためにも、お母さんはぜひ、たくさん質問してあげてくださいね。