好奇心のある子が育つ秘訣〝まずやってみる”のパワー

ゆきほ/ライター

あるお母さんから「うちの子、好奇心がなくて困ってるんです」と言われたことがあります。皆さんは、好奇心はどうしたら持てると思いますか?好奇心の生まれる瞬間とはどんな時だと思いますか?

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好奇心を育む簡単な方法=まずやってみる

「これは何だろう?」「何が光ったのかな?」など、何かに関心を持つところから好奇心の冒険は始まります。

関心=気になる気持ちはどんな子どもの中にもあります。毎日の生活の中で何かを知ろうと目を凝らしたり、耳を澄ましたり、触ったりしているうちにもっと知りたいという好奇心が生まれてくるのです。

関心とひと言で言っても…と思いがちですが実はとっても簡単。五感を使って何でも〝体験してみる″〝やってみる″だけ。

朝の冷たい窓ガラスに触れてみる、初めて見た花のにおいをかいでみる、風で飛んできた葉っぱを観察してみる…なども小さな五感体験の活動です。散歩中に近所のおばあちゃんの畑をちょっと手伝ってみることも体験だったりします。

大げさに考えずちょっと周りを見回してみてください。体験の種はあちこちで出番を待っています。

百聞は一見に如かず。さらに言えば“百見は一行動に如かず”

以前、夏に子どもとのイベントで魚のつかみ取りをしたことがあります。山奥のせせらぎでの出来事でした。

ある参加者の女の子は最初、その体験が嫌でした。親に言われたので来ただけというスタンス。さらに本人は、自分のグループより先に体験している他の子たちを見て

「こう追いかけると捕まらないな」
「あんな風に掴まないとするっと逃げるな」
と分析。

結果「うん、難しそうだからやっぱりやめとこう」という結論に至っていました。

ところがです。スタッフに勧められてしぶしぶ水に入ってみるとその子の様子が変わっていきました。

水の冷たさが気持ちいい!歩いてみると感触が心地いい!ワクワクしてきた!見ていたよりも魚を追いかけることが楽しい!

そこから、理論派かつ頭脳派の彼女の心に火が付きます。そして上手く魚を掴まえることに成功すると「難しいけど難しくない!!」と言いながら他の子に魚を掴まえるコツをレクチャーするほど生き生きと活動したのでした。

〝百聞は一見に如かず″という諺を耳にしたことがあると思いますが、実は〝百見は一行動に如かず″。百回見るよりも実際に一度やってみた方がもっともっと深く理解できます。

またワクワクは脳の記憶の定着=学びの定着も良くしてくれます。〝まずやってみた″行動から関心が生まれ、好奇心と共に次の学びを呼び寄せていくのです。

違って当たり前!親の関心と子どもの関心

様々な体験を子どもにさせたいというのは親ならば少なからず持っている思い。

でも時折、「これをさせたい」という思いが強く、子どもの関心に関わらず親が良いと思うものばかりを体験させていることがあります。もちろん体験そのものはステキなものです。共通に楽しめることがあると親子関係にも良い影響を与えてくれます。しかしこんな事もあります。

子ども独自で世界が広がった例:友人の話より

友人の子はよく父親と川へ魚釣りに行っていました。暇があれば釣りに行き、それ以外に関心を持っていない様子でした。父親もそれが唯一の趣味であり、それ以外のことで息子と遊ぶことはありませんでした。

しかしある日、その子が川で岩や断層の観察をする機会が訪れました。そこでたまたま化石っぽいものを見つけたのです。その体験から、その子は化石に関心を持ち、それまで読んだことのない本に手を伸ばしたり博物館に行きたがるようになりました。

もちろん父親との魚釣りも続いていますが、確実に世界が広がった出来事でした。

もし親からみて「やったことないから」「自分は関心がないから」と感じる体験に出会った時、臆せず子どもに一度チャレンジの機会をプレゼントしてみてください。思った以上に子どもと親の関心のツボは違っているんだなと感じる体験に出会えるはずです。

特にこだわりの強い子は好きな体験が親と違うことがしばしば。その時に

「そんなことよりもっと違うことに関心を持ってくれたらいいのに…」
「こんなことしてほしい」

と親の関心ばかりを押し付けていると、それが好奇心に繋がらず、時に無気力さに繋がってしまうこともあります。

どんな体験でも関心が持てることは好奇心への第一歩です。そこからいろんな好奇心へ枝葉を伸ばしていけるよう体験の幅を広げてみてください。子どもの関心と親の関心が違っていることは当たり前!!そう思ってみると案外親の方も視野を広げることができて人生が豊かになるかもしれません。

まずはやってみる。体験の数だけ好奇心は増える

体験数が増え体験する事自体が当たり前になると、子どもの心に関心と好奇心を持つ力がどんどん育っていきます。すると新しい出来事に出会った時、拒否したり不安になったりすることなく「自分が予想できない出会いがそこに待っているかも」という期待感を持って一歩踏み出しやすくなります。その体験がさらに関心や好奇心を大きく育ててくれます。親が体験の幅を広げれば広げるほど子どもの好奇心は育ち、学びの機会は広がっていくのです。

どの体験がどんな未来に繋がっていくか、これは予想しがたいものです。例えば、魚のつかみ取りを体験した女の子はその後魚に興味を持ち魚博士になるかもしれませんし、魚釣り名人になるかもしれません。魚を通して海洋生物の研究者になるかもしれません。また、友だちに上手く教えられた経験から、何かを教える仕事に就く未来を意識するかもしれません。さほど大きな影響がなかった体験だったとしても、必ず何かの形で子どもの糧になっていきます。

まず〝やってみる″ことが好奇心への第一歩なのです。

キッズコーチングでお伝えしている子どもの心と体の成長の7つのステップの第一歩は、好奇心を育てていくところから始まります。

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この記事を書いた人

黒田ゆき保のアバター 黒田ゆき保 ママトコネットライター/キッズコーチング®トレーナー

全ての子どもに『自分らしく生きる力』を。新しい一歩を安心して踏み出せる『心の居場所』を提供。不登校児や特別支援児のサポート、自然体験・野外体験活動指導者として、様々な組織のキャンプの企画に参画。 青少年育成ボランティアの養成にも力を入れ、延べ1万人以上の子どもたちと関わる。

外遊びと絵本、工作と文房具好き。

キャンプディレクター1級/ comfortable place 代表。1児の母。

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