いよいよ夏休みも終わり、2学期のスタート!
親としては普段の生活リズムに戻したいところなのに、ある朝子どもに「今日幼稚園行きたくない…」と言われたらどうしますか?
夏休み明けはお子さんの気持ちの切りかえがスムーズにいかず、毎朝登園準備に悪戦苦闘しているご家庭も多いのではないでしょうか。
さあ、あたふたしてしまいそうになったら、今回の‟お菓子の法則”思い出してみて下さいね。
オウム返し、確認、承認!優しい甘さの‟お菓子”が子どもをホッとさせる
長い夏休みが終わる時期。ママが最も頭を悩ませることのひとつに、登園渋り問題が挙げられるのではないでしょうか。
どのご家庭でも、多かれ少なかれ、「幼稚園行きたくない」「行きなさい」という子どもとの押し問答を経験したことがあるのでは?
思わずドキッとして何食わぬ素振りで聞きながしたり、「どうして?何が嫌なの?」と詰め寄ってしまったり、どう対処していいかオロオロしてしまったり。なかなか冷静に対応できないのが本音かもしれません。
そんなときに思いだしてほしいのが‟お菓子の法則”です。3つのstepの頭文字を取った法則です。
- 【オ】ウム返しにする(子どもの言った言葉をそのまま繰り返す)
- 子どもの本心を【か】くにんする(質問しながら本人も認識できていない自分の気持ちを整理するお手伝い)
- 子どもの意思を【し】ょうにん、受容する(本人の選択を認める)
許容?無理強い?登園渋りが長期化するのはどちら?
多くのママは、「幼稚園を休みたいという主張を一旦許容してしまったら最後、休み癖がずっと続いてしまうのではないか」と恐れていることでしょう。子どもの気まぐれなのか、本気なのか分からないけれど、とにかく安易に承諾してしまうのは危険。簡単に譲歩してしまってはいけない。そんな風に考えて「幼稚園は毎日行くものだよ」と慌てて説得を試みることも珍しくないことでしょう。
ですが正論を盾にこちらの主張だけを押しつけていては子どもはますます貝のように固く心を閉ざしてしまいます。仮に強いプレッシャーを感じなんとか登園できたとしても、子ども自身の中には消化しきれないモヤモヤが残り続けます。自分の意思とは無関係に明日もまた幼稚園には行かなくてはならないというマイナス思考のスパイラルに入ってしまいます。結果翌朝もそのストレスが噴出し「行きたくない」と繰り返すことでしょう。
ゴールは幼稚園に行かせることでしょうか?何が何でも園にさえ行けば万事OKなのでしょうか?
答えは明白です。
大事なのは説得する前にまず登園したくないという子どもの胸の内をよく聴くこと。聴いた途端に即座に説きふせようという思考回路が頭をもたげてしまいがちになりますが、そこをぐっと押さえて傾聴し続けます。適宜質問を投げかけながら、本人も認識できていない自分の気持ちを整理するサポート役に徹します。
そのプロセスの中で、何か特定の理由があって本人は強く登園を拒否しているのか、もしくはなんとなく今の生活リズムから脱却したくなくて家にいたいだけなのかといった点が見えてきます。そこまできたら最後に、最終的な本人の選択、意志をあらためて口にしてもらい、それを否定せずに承認、受け入れます。
ここで、否定せずにまるごと承認するというのは、必ずしも幼稚園を躊躇なくお休みすることを推奨するという意味ではありません。「そう思うのね、聞かせてくれてありがとう。よく分かったわ。行ったらきっとお友達や先生もいて楽しいとは思うけれど、それでもどうしてもおうちにいたいのなら〇〇ちゃんの決めた通りにしていいよ」といったように、ママ自身の気持ち、提案も伝えてみましょう。本人なりに決めた結論を尊重しながら、ママからちょっと角度の違った視点も提示した上で、本人に最終的な結論を委ねるという姿勢です。
自分の思いを気が済むまでたくさん共有してもらえるだけで子どもは随分落ちつくもの。たくさん話を聴いてもらったら、特定の解決すべき理由がある場合を除いては、子どもは「それもそうだね、ママの言う通りかもしれない。行ってみてもいいかな」という前向きなポジティブ思考に切りかわるのも早かったりするのです。話を丁寧に聴いてもらうことが子どもにとっていかに大きな意味を持つかということの証明でもあります。
とにかくしょっぱなから子どもの話も聞かずに、幼稚園は毎日行くもの、の一点張りで子どもに登園を無理強いすることだけは避けましょう。かえって登園渋りを長引かせてしまうことになりかねません。
ママに気持ちを分かってもらえたら、自分でギアチェンジできた5歳
そんな私も、何を隠そう次男の登園渋りにヤキモキしていた時期があります。こだわりが強く頑固な彼は一度言いだしたらてこでも動かない初志貫徹タイプ。
「なんで行きたくないの?」「運動会の練習が嫌なの?」ととにかく根掘り葉掘り高圧的な姿勢で質問攻めにしたり、息子の言葉に一切耳を貸さない無視の姿勢を貫き、力づくで登園バスに放りこんだりと毎朝5歳児相手に格闘していました。
泣きわめく息子を、幼稚園の制服の入った紙袋と共に
パジャマのまま園バスに押し込んだこともありますよ!
泣く子も黙る(本人は黙りませんでしたが)鬼母です。笑
ある日どうしようもなくお手上げ状態になったときに、意を決して私も次男のそばで玄関にどっかと腰を下ろしました。遅刻もしくはついに欠席覚悟で膝を突きあわせ、話を聞こうと腹を据えたわけです。
行きたくない。子どもみたいな歌を歌いたくない。お遊戯なんてかっこ悪くてやりたくない。自分はずっと工作をしていたい。制服のズボンの色が好きじゃない。さんざん愚痴をぶちまける次男。
ひとつひとつ「そうか、歌いたくないんだね」「お遊戯やりたくないのね」と横でオウム返しにしている私の顔をちらりとも見ない戦闘態勢です。随分悪態をつき続けたあと、「そうか、じゃ今日どうしようか?」とのんびりと質問した私に「絶対行かない」と即答。
「行きたくないのね、よくわかったよー。これまでいろいろ思うことがあったんだね。なるほどね。じゃ今日はママと一日遊ぶか!」と開きなおりよいしょと立ちあがりかけた時です。予想を反し私の背中に降ってきたのは「ママと遊ぶより幼稚園で剣作りたいから行く!」というふてくされた声でした。
思わず笑ってしまい、「ん?ママと遊んでくれないの?」と振りむくと、全てをデトックスしたような晴れ晴れした顔つきになった彼が、「明日は行かないけどね!」という捨て台詞と共に自分からドアを出ていくところだったのでした。
言うまでもなく、次男の登園渋りはその日で終わりを迎えました。
何があってもあなたの味方。腹を据えてどっしり構えよう
とにかく話を聴いてもらう時間が欲しかったんだなあと今も懐かしく思いだします。今や中学生になった次男は学校が大好き。嬉々として毎朝出かけていきますが、変わらず彼の話をどんなときもオウム返しにしながら傾聴し、気持ちを確認し、彼の決断を承認する姿勢は変えていません。
子どもはどんなときも親に真正面から向き合ってほしいもの。いつでも味方でいてくれることが分かれば、おのずと一歩を踏みだします。もちろん、そのときの決断が幼稚園をお休みすることだって全く問題ありません。充分休息して、ママとたくさん会話して安心できる時間が持てれば、また新たな階段を登っていけるのが子どもの逞しさ、強さです。
大切なのは今日幼稚園に行かせることではなく、子どもの気持ちをありのまま両手を広げて受けとめること。
たくさんの失敗を経験してきた私だからこそ、みなさんにシェアしたい。
夏休み明けの悩みの種が解決するヒントになりますように。