友だちと何かについて教えあっているうちに自分が発した言葉に「あ、そうゆうことか!」と感じたり、教えあう前よりも深く理解した、という経験はありませんか?学びや経験を自分や誰かにアウトプットすることは自身のより深い学びに繋がります。
同じ行動を繰り返すのは、確認と工夫を重ねている証拠
「うちの子、階段が好きなんですよ。上ったり下りたり、何度も何度も…。」
「おもちゃを入れては出し、入れては出し、飽きないんですよね」
などの会話を耳にしたりすることがあります。
わが家も何度も行ったり来たりする姿をよく見かけましたし、同じように飽きないのかな?と不思議に思うこともありました。
しかしこの行動、同じ行動に見えても、よくよく考察すれば実は1つとして全く同じ状況ではないことに気づくのです。この小さな違いを積みかさねることで子どもは少しずつ成長していきます。
似ているけれど、ちょっと違う。一段多く登れるようになったら、見える景色が違ってくる。さっき自分はこう登った。次はこうしてみよう。そんな感じです。
このひとつひとつの小さな模索は、小中学生や高校生になっても、同じような問題を何度も解きながら学びを定着させることに繋がっています。
まさに小さな頃に実体験した”積み重ねからの学び”はずっと続くのです。そう考えると、階段の上り下りにはこれからの人生の学びがつまっているのかもしれません。
「教えあう」という体験がもたらす、新しい学び
アメリカの研究に、聞いたり見たりしたことは20%しか記憶に残らない。しかし実体験すると80%残り、人に教えると95%残るという実験結果があります。
真偽の分かれる話ですが、実際に私の関わるキャンプの場では、子どもたちは自分の経験を教えあうことで、実体験からの学びを深めることがよくあります。
たとえば、釣りキャンプの時には、経験値のある子ども同士がコツを教えあったり、その日の釣果のいい子どもが、なぜ釣れたのかを自分なりに考えて、釣れない子にアドバイスしたりする場面が自然と見られます。まさに体験からの学びをアウトプットし、さらに経験値として「身につける」瞬間です。
他にも、子どもたち同士で体験をシェアすると今まで気づかなかった課題解決の糸口が見えることがあります。
教えることが学びになる。伝える工夫が学びを深める
自分の体験や学んだことを人に伝えようとするとき、誰もが感覚や感情を言語化し、さらに分かりやすく伝えようとする心理が働きます。
わが子が滑り台を上手に下りた時に「できた!」と言えたなら「ほんとだね!できたね!」と一緒に喜ぶのと同時に、「どうやったの?教えて。」と加えてみましょう。子どもたちはじつは「教えて」という言葉が大好きです。
もしも言葉で言えなくても「こう!」と言いながらやって見せてくれます。
1日に1つずつでいいので、ぜひ子どもの小さな学びをアウトプットできる手助けをしてみてください。
学びを身につけるために家族でできること:体験を言葉で共有する習慣
子どものアウトプットを支えられるようになったら、ぜひもう1つやってみてほしいことがあります。それは親自身も子どもに感じたことをアウトプットしてみるということ。
批判的なことではなく、お互いにできたと思うところや頑張っていたところ、良かったこと、嬉しかったことなど、何でもいいので、共通の事柄で思いを話し合ってみてほしいのです。話し合うと言っても長々とするわけではなく、ちょっとした会話としてできるだけで十分です。
例えば、
今日くつが上手にはけたよ。足をぎゅってしたら入ったよ。
ぎゅって足に力を入れてはいたあとに、床でトントンもできたね。昨日より上手だったね。
このように話すだけで、子どもは新しい言葉の表現と、新しい自分のできていたことの確認ができます。その両方が学びになり、自分の成長をより感じることができるのです。
習い事でスポーツをしているご家庭では、できたことや次にどうなりたいかを書くノートをつくることもあります。
子どもの書いた頑張りに対して「他にもこんなところができていたよ」や「どうやったらうまくいったの?」「コーチはどんなアドバイスをくれたの?」などとノートを見ながら少し話すだけでも子どものアウトプット力は上がり、理解を深めていくことができます。それをできるだけ他愛ない会話としてでも毎日続けていくと、子どもの学びがさらに深まっていきます。
正に人生は階段のようなもの。体験したことを人に伝えようとすると、成長の階段をスムーズに上がってくことができます。まずは家族で起きた事を共有してみることから始めてみませんか?