“旅”とは“遠くに旅行に行こう”という意味ではない
“かわいい子には旅をさせよ”ということわざがあります。これは単にあちこち連れて行けという意味ではありません。
かわいい子どもだからこそ、手元で甘やかすだけでなく外でたくさんの経験をし、苦労の中で成長したほうが子どものためになるという意味です。
現在、コロナウイルス感染拡大防止の観点からなかなか旅行にいけない現状ですが、子どもにとっての“旅”は遠くに旅行に行かなくても家でできることがたくさんあるのです。
子どもに「何をしてみたい?」と尋ねることから始める
例えば、まずはお片付け、玄関やお風呂の掃除、ゴミ捨てなど年齢に合ったチャレンジをしてもらいましょう。子どもと話し合って担当を決めてスタート。初めはうまくいかないことが多くても、お世話はしなくて大丈夫。
失敗したらどんな気持ち?次はどうやったらうまくいくかな?と声をかけます。
それができるようになったら、回覧板を持っていく、レジに一人で並んでもらう、自分で注文をさせるなど、少し冒険をさせてみましょう。
子どもの表情や言葉遣いを目の前で見守りましょう。結果は失敗しても成功してもどちらでもいいのです。
大切なのは、経験をすることなのです。子どもにとって行ったことがある街が増えると世界に興味が湧き、学びになるように、経験が増えると、生活の中でも十分に学び、成長できるのです。
おまかせしたら見守るのみ!旅に出る子を見送るように遠くから、がポイント
わが家では、時々小学生の長男はスーパーへのおつかいにゴミ捨て、年中の娘は宅配の受け取りや郵便物を取ってくるというミッションが発生します(他にもまだたくさんあります)。
頼んでしまったら完全に子どもの担当です。自分のやり方と順序が違ったり失敗しそうだなと思ったりしても口は出しません。“失敗したら第一声は何にしようかな”と考えながら見守っています。
ゴミ袋を引きずって「ゴミ袋が破れるな」、郵便受けに背伸びで手を伸ばすのを見て「踏み台がないと郵便受けに手が届かないよな」そんなふうに思っても黙って見守るのです。これは忍耐力を試されます。
大失敗の後、子供は決まって「ママー」と助けを求めにきます。そのときに「あらー、そっかー、どうしよっか?」と答えます。
お手伝いに必死な子どもは、あらかじめ失敗することを予測してはいません。失敗して初めて考えるのです。
もちろん最初は「ママのせいだ」「もうしたくない」とか言います。でもそこからリカバリー方法を考えて小さな“できた”を体験すると、目を輝かせるのです。
お母さんができることは安全確保のうえで経験の機会を作ること
成功した経験も、失敗した経験も、失敗から立ち直る経験も、そこで何を感じるかも、すべては子どものものです。
お母さんができるとしたら、失敗しないように完璧なお膳立てをすることではなく、良いも悪いもいろんな経験ができる環境を作ることでしょう。
安全であることはもちろん大切です。そのうえで、家の中でも子どもたちがたくさんの経験をすることが“旅”なのです。
家の中で経験を重ねることで、本当に“旅”に出たときの経験はもっと深く子どもの中に刻まれることでしょう。