毎日起こる兄弟ゲンカに“もううんざり!”と感じているお母さんは、少なくないようです。
私も保育園内で、毎日子どもたちのケンカを目の当たりにしています。しかしよく観察してみると、ケンカは子どもが社会性を学ぶ絶好のチャンス”だなぁと感じることが増えてきました。
保育園では危険な状態ではない限り、少し落ち着いて事の成り行きを観察して対処するようにしています。今回は、先生たちが毎日どうやって対処しているのかをお伝えします。
子どものケンカはジャッジせず、感情を受け止めること
園内のケンカは、自分の主張が通らないかという理由でぶつかることが多いです。そんな時は“何が不満なのか?本当はどうしたいのか?”お互いの主張を観察すると良いでしょう。
例えば、おもちゃの引っ張り合いをしている時は、引っ張っている方が悪いと見えてしまうでしょう。
しかし“貸してほしい側”も“もっと使っていたい側”も、どちらの主張も本音なので、その気持ち自体にはいいも悪いもありません。
どちらが正しいか?悪いか?でジャッジせずに、「欲しいのね」「もっと使いたいのね」と子どもの気持ちを言葉にして伝えてみて下さい。お互いの気持ちを代弁してあげるだけで、子どもたちの興奮状態が静まるでしょう。
子どもの主張を繰り返すと心の痛みを受け止められる
ケンカの原因が分からないときは、子どもが主張している言葉をそのまま繰り返してみましょう。
これは“リピート法”と言って、何度も繰り返すことで高まっていた感情に変化が表れます。
例えば、子どもが「ダメ!」と言いながらおもちゃを手放さない時は「ダメなのね。触ってほしくないのね」のように、状況を言葉で表現してあげましょう。
子どもは自分の気持ちを理解してもらえたと感じやすくなり、少しずつ感情を落ち着かせることができます。きっと怒りの感情表現の時間も短くなってくるでしょう。
1歳2歳クラスの子が自分の気持ちに気づいて乱暴な行動が減少した理由
1、2歳くらいだと、お友だちが使っているものは全て魅力的に見えるようです。私の保育園の1歳・2歳児クラスの子どもたちも、すぐに奪い合いになったり、抱えて逃げ回ったり、とても賑やかです。
先生たちはケガをしない程度に引っ張り合いを見守ってから「いやなのね。使っていたいのね」「欲しいのね。楽しそうに見えたのね」というように、状況を実況中継のように言葉して伝えていきました。
すると、引っ張り合う時間が短くなった上に「たいちゃん、欲しいの」「りんちゃん、持ってっちゃったの」と、少しずつ言えるようになったのです。
それからは、すぐに手が出たり泣きわめいて暴れたりする場面もぐんと減リました。少しずつですが、お友だちの気持ちにも気づけるようになったのです!
むやみに止めずに感情の表現方法を学んで社会性を育てよう
危険を伴う時以外は、主張し合う姿を見守ると良いでしょう。ぶつかり合っているうちに、“あれ?自分の主張が相手に伝わったぞ!”のように、その方法が着実にインプットされていきます。
必ず自分の気持ちを、言葉で表現できるようになります。子どもが気持ちを言えた時は、「言えたね!」と伝えてあげましょう。
子どもは「こういうときはこう言えばいいんだ」と確信できて、兄弟以外のお友だち関係においても、上手に自己表現していけるでしょう。将来、円滑な人間関係を送れる基礎となる感情をコントロールする力は、ケンカを通して育てるのがポイントとなります。