「お母さんのせいだ!」と言う子になるのはしつけではなく声かけの仕方
子どもが、忘れ物をしたときや、何かに失敗したときに「お母さんのせいでこうなったんだ」と言うことがありませんか? 言われたお母さんは驚くでしょうが、子どもは本気でお母さんのせいだと思っています。どうしてこのようなことが起こるのでしょう。
それはこれまでの声かけが影響しているかもしれません。
どんな声かけが人任せの性格を作るのか、また自分で判断する力をつけるにはどう声を掛ければ良いのか、一緒に見ていきましょう。
何かを決めるときは子どもが決断するチャンスかも!と一度考えてみよう
子どもには成長の過程でたくさんの判断や決断のチャンスが訪れます。どんな服を着ようか、何を食べようか、何をして遊ぼうかなど、小さなことひとつひとつが、全て決断の機会です。そしてそれはもう、日常生活の中に無数に転がっています。
その時に「この服を着てね」「ハンバーグがいいよね」など、知らず知らずに大人の側が指示をしていることがあります。決断の場面が訪れるたびに大人が指示を出していると、子どもが自分で考えて決断する必要がなくなっていきます。
すると、子どもは段々と自分で考えることを手放してしまい、決断は人がするものだと思うようになります。それが積み重なることで失敗したときに「お母さんのせいだ」となるのです。
こんなときは、ぜひ「どうしたい?」「どれにする?」と聞いてあげて、自分で決めさせてあげてください。子ども本人が決めることが、自立への近道なのです。
今日何を着る?で鍛える決断力。ポイントは口出ししないこと
わが家の子どもたちは、温かい服が好きな息子、暑がりの娘と感じ方が真逆です。なので、おでかけの時にどう声をかけるかとても迷います。
以前は寒いからと無理やり着せようとしたり、熱くなったら脱がせたりとお世話をしていました。ですが服が子どもの気分と合っていないと不快で不機嫌になることも多かったのです。それに着せすぎて汗をかいて、それが冷えて風邪をひくこともありました。
そんなこんなを経て、今は自分で決めてもらっています。私は「今日何を着る?」と聞くだけです。子どもたちは自分で服を選んで出かけます。“今日は寒かった、暑かった”という失敗を重ねて、今では天気予報をよく見るようになりました。
二人とも失敗も経験しています。寒いよりマシだと上着を持っていく息子は、初夏にフリースを着て大変なことになりました。娘の方は、朝から庭に出て気温を確認するという対策を考えました。自分で寒いと判断して長袖を着ていったのですが、お昼には暑くなり失敗したと感じたようです。
このときに私が「だからやめとけって言ったのに」「上着いらないって言ったでしょう」などと言うのは簡単です。でもそこはグッと我慢。失敗したと感じた子ども自身が、次はどうしたらいいかと改善策を練っているはずだからです。
親の役目は指示ではなくサポート。失敗から学ばせる機会を作ろう
春から夏にかけて服装の調節が難しい季節の今、判断力や決断力を養うチャンスです。何を着るのか、何枚着るのか、そして上着は何にするのか、見守ってみましょう。子ども自身が「上着がなくて寒かった」「長袖は暑かった」という失敗も大切な体験です。
そのときに責めるのではなく、考える機会を作ってください。ただ、今の時代は風邪もひかせるわけにはいきません。どうしても上着を着てほしいなら、無理やり着せるのではなくコンパクトになるものを持たせてみるのはどうでしょう。
大人になると大きな判断が必要になります。お母さんのせいにはできません。失敗が“上着がなくて寒かった”程度で済むのは子どもの特権。子どものうちに何かを判断、決断をする機会を作りましょう。