不可抗力な事態には、視点を変えて対処する
子どもが楽しみにしていたイベントが開催されなかったとき、悲しむ子、怒る子、落ち込む子とリアクションはさまざまです。親としてはなんとかしてあげたいと思う反面、天候や主催者側の都合で中止の場合はどうすることもできませんね。
うちの息子は幼稚園でのプールをとても楽しみにしていましたが、園の方針で今年はプール指導をしないことになりました。その知らせを聞いた息子は、使うあての無くなった水着とゴーグルを部屋の中で振り回しながら、がっくりと肩を落としています。
私は「危ないな」と思いながらも、かわいそうに思って叱ることができずにいました。そんな私や子どもの様子を見て、主人が素敵な提案をしてくれたのです。
我慢する力の育て方。コツはまず要求を見極め受け入れること
主人は落ち込む息子に、水着とゴーグルをつけてお風呂に入ることを提案してくれました。そして「ゴーグルを振り回さないこと」という約束も取りつけてくれました。息子の機嫌はすっかり直り、ゴーグルを丁寧に持ってお風呂へ向かいました。
よく考えると4歳の息子は、プールとは何かをまだよく知りません。彼が落ち込んでいたのは、プールに入れないということ自体ではなく、それによってお姉ちゃんからお下がりでもらったゴーグルと水着が使えなくなったことでした。
そこを見抜いていた主人は、ゴーグルと水着を使う機会を作ることでその気持ちを満たすことにしたのです。それと同時に「ゴーグルを振り回してはいけない」ことも伝え、正しく使うことを約束しました。
敏腕営業マンは子育ても上手!?パパを巻き込むことの効果
これはキッズコーチングのスキルの一つ”YES and法”と言います。相手の要望をそのまま叶えられないときに、一旦「いいよ」と受け止めた上でこちらからの条件を伝える手法です。交渉術の一つとしてビジネスの場でもよく使われます。
例えば、お客様からの無茶な要望に対して「それは無理です。できません」と頭ごなしに言い返すと角が立ちます。
そこで「それは素敵ですね」などと要望を否定せず受け止めた後で「あと3ヶ月待っていただければご用意できます」などとこちらの条件を添える方法であれば、客の側も否定されたと感じずに前向きに条件を変えて検討を続けられるという仕組みです。
もしあなたが「ついついカッとなっちゃって、頭ごなしに叱ってしまう」と思うようなら、ぜひ交渉はパパに任せてみましょう。案外いい具合に話がまとまるかもしれません。
ゴールがあれば頑張れる。辛い我慢を楽しい努力へ変換しよう
親にとってはわがままと感じてしまう子どもの要求も、頭ごなしに否定されてしまっては辛いもの。特にこのご時世、どうしようもない理由で我慢せざるを得ないことがたくさんあります。
今年のプール開きは、自治体や学校によって判断が分かれるようです。家庭内でも「小学校ではプールをやるけど、幼稚園ではできない」のように、子どもにとって理解しづらいシチュエーションも想定されます。
理解させようと説明したり、わがままだと叱ったりするよりも、まずは子どもの気持ちを「いいよ!」と受け止めることから始めましょう。どう頑張っても不可能なのであれば、できないことを嘆くより制限の中でできることを見つけることにエネルギーを使いたいですね。
ただ単に「我慢しなさい」と押しつけられた約束は、守れるものではありません。しかし、やりたいことが叶えられるとわかっているときには、約束も素直に守れるようになるものです。
約束を守った先にある「嬉しいこと」をわかりやすくイメージできることが頑張れるモチベーションの元です。小さな約束を守ることを繰り返しましょう。どうせできない、という“あきらめ”ではなく「嬉しいこと」に向かって“努力”できる力が育まれます。
子どもに「絵本読んで」と言われたら「今忙しいから!」ではなく「いいよ!お洗濯が終わったらね」と答えて、少しの時間待つことから練習してみましょう。
お母さんが約束を守ってくれるとわかれば、きっと少しずつ待てる時間が伸びます。
待つ力は忍耐力です。忍耐力がついた子は、目標に向かって忍耐強く努力できる子になります。長い夏休み、ぜひ子どもの待つ力を伸ばしてあげましょう。