結論を限定しない。質問形式で子どもの答えを引き出そう
子どもが困っているとき、大人はすぐに解決方法を教えてしまいがちです。
例えば朝の支度のとき
「歯磨き粉がなくなってるよ」
と言われたらさっと新しいものを差し出してしまう。
ブロックがうまく組み立てられず首を傾げているわが子に
「このパーツはここよ」
と横から助け船を出してしまう。
ですが子どもが困っているときほど、それは創造力を伸ばすチャンスなんです。
手早く大人が結論を限定して提示するのではなく、ぜひちょっと立ち止まって子どもに考えさせてみましょう。
「どうしたらいい?」の質問形式の出番です。
「他にも方法があるかな?」で創造力に火をつける
子どもは大人以上に発想力の天才です。子どもに考えさせる質問形式の会話こそ、内側に秘めている子どもの力を開花させるきっかけとなります。
あれこれ考えを巡らせ、問題解決能力を高めるチャンスにもなります。自分の意見を尊重してもらえる経験を積んだ子は自己肯定感も高まります。
ね!いいことづくめでしょ!
すぐに大人が答えを与えてあげると短期的にはスムーズに見えますよね。
でも質問形式の会話に変えるだけで、結果的にはその方がより子どもの可能性をぐんと伸ばせるんです!
質問して何かひとつ答えを子どもから引き出せたらそれだけでも大成功!
ですがもし子どもに余裕があるようであればぜひ
「他にも方法があるかな?」
「もっといい方法あるかな?」
と更に質問を重ねてみましょう。
複数の答えを考え出すクリエイティブな発想力により磨きがかかりますよ。
寒いときはどうしよう?アイデアが次々出てきた5歳児レッスン
私は0歳から6歳までの子どもを対象としたリトミック教室を主宰しています。
これはある日の5歳(年中)クラスでのこと。
その日は突然気温が下がり秋風も吹き肌寒い日でした。外から教室に入って来た一人の女の子が開口一番「今日は寒い!」と声を上げたのを皮切りに、口々にみんなが「寒いよー!」と訴え始めました。
先生としてはすかさずエアコンの温度を上げてあげたいところですが、あえてここで一言。
「寒いね!どうしたらいいかな?」
寒いという言葉だけで意図を汲み大人が状況を即改善してあげるのではなく、“ではどうすれば解決するか?”を子どもたちに考えさせる機会を作りました。
最初に出てきた答えは「エアコンの温度を上げる!」でした。それでもすぐに部屋が温まるわけではありません。
「他にできることあるかな?」
私の問いかけに子どもたちは首をひねって考えたり、お互いに意見を言い合って相談したり。
結果、寒いときの対処法として子どもたちから出てきた解決策が以下の通り。
- エアコンの温度を上げる
- 上着を着る
- みんなでくっついておしくらまんじゅうをする
- 温かい飲み物を飲む
- 走って体を温める
- お風呂に入る(ちょうど近所にお風呂屋さんがあるのです)
- キャンプファイヤーをする(先月家族でキャンプに行ったという男の子の発案です)
- あったかい部屋に移動する
- 縄跳びをする(冬になると幼稚園で縄跳び大会が毎年あり、真冬でもみんな汗をかく位暑くなるんだよ!と一人の女の子が教えてくれました)
- 「今日は暑いなー」とみんなで言う(いわゆる言霊でしょうか)
いかがでしょうか?すぐに快適な環境を大人が整えてあげることは簡単です。ですが「どうしたらいい?」「他に方法は?」の問いかけで、10種類もの選択肢が子どもから引き出せたのです。
この日は結局エアコンの温度を上げ、上着を着ながらおしくらまんじゅうをしては走り回り、ピアノに合わせて縄跳びのようにジャンプをしているしているうちにあっという間にみんなあったかくなったのでした。
極めつけにみんなで「今日は暑いなー!」と言って、
あったかいを通りこして本当に暑くなった自分たちに大笑いしましたよ♪
「どうしたらいい?」で逆境に強い子を育てよう
子どもが困っているピンチのときにすぐに解決してあげたいと思うのは誰しもが持っている親心でしょう。
確かにその場は丸く平和に収まりますが、問題解決を図るための発想力、創造力は“質問をする会話”から育ちます。
いくつもの解決策を捻りだすことが習慣になれば、袋小路に入ったような逆境のときにもあらゆる方法で乗り越えられる子に育ちます。
子どものピンチはチャンスです。「どうしたらいい?」の質問で、子どもの創造力を豊かに育ててあげてくださいね。