繊細さを持つ子どもたちの折れない心を育む術

ゆきほ/ライター

昔、人見知りで問いかけにもなかなか答えられなかった女の子。お母さんが変わりに動いたり答えたりなさっていました。
お母さんは「人前だと1人で何もできないんです…」とよく話されていました。

今日はそんな彼女が少し勇気を持てたときのエピソードをお話します。

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無意識下に支えを感じることが心を強くしてくれる

繊細さを持つ子どもたちと一緒に野外活動をしていると共通して感じることがあります。森で聞いたことのない音が聞こえる、風の匂いが変わるなど、繊細な子ほどちょっとした変化に気づいて不安が大きくなる場合が多いのです。

初めて会ったお友達の困り感や不快感にどうしたらいいのか分からなくなって、自身がしんどくなってしまうことも。気付くとすっかり心が折れてしまって「帰りたい…」とテントから出てこられなくなったりします。

そんな子たちの心が折れにくくなる条件のひとつに〝心の居場所を持つ″ことが挙げられます。心の支えを感じられる人、そこにいて安心できる場所などがそれです。

小さな子どもでは保護者がその人であり、わが家がその場所になります。どんな子にも言える事ではありますが、特に人見知りな子や初めての場所が苦手な子には大切な事柄です。自分らしさを出せるかどうかの大きな鍵になります。

思いがけないアクシデントに出会った時、くじけずに前向きに対処しようと思えるかどうかも、実はこの支えが大きな勇気を与えてくれます。

習い事や地域活動の中にもう1人の自分を作ると心の安定と自信に

第2の居場所があることも、心の強さや安定に繋がります。その場所では幼稚園や保育所、学校では見せる機会の少ない面を出すことができやすくなります。すると不安な気持ちが落ち着き自信に繋がります。

また、スポーツなどの体験は大会や試合で負けることもあるでしょう。そんな時に友達と励ましあいながら、より良く強くなる方法を考えることができると、自分の悪い面ばかりを責めずに済みます。

支えあい繋がりながら困難を乗り越えることで友達との絆や心の強さを得ることができていくのです。

「笑っていられただけでいい」気持ちを言えた時に強くなれた気がした

あるキャンプ中、なかなか友だちの輪に入れずにいた子がいました。グループのちょっと強引なメンバーに戸惑いを覚えたのか、発言も会話もない状態。

自由時間も1人座っているので、私は時々横に座って一緒に景色を眺めていました。すると、その子が少しずつ話し始めました。内容は他愛のないこと。今日のこと、家族のこと、好きなもの…。

うんうんと聞いているうちに笑顔も増え、他の子も交えて話せるようになっていきました。

翌日、得点を競う活動中。その子のグループはなかなか高得点が出ません。がっかりしてマイナス発言をするメンバーの中、その子が言いました。

「楽しくていっぱい笑えた。そこはよかったと思う。」そこからみんなの発言がプラスの方向に流れていきました。あの時面白かったね。あの時これで笑ったね…と。

年月が過ぎ、高校生リーダーになった彼女は私にこう言いました。

「あの時、〝笑っていられただけでいい″って言えた時、ちょっと強くなれた気がしたんです。いつも私の話を頷いて聴いてくれて嬉しかった。だから頑張れた。」と。

その頃に、彼女は自分も努力して高校生リーダーになろうと心に決めたと教えてくれました。

〝聴く″ことは寄り添うこと、それが心の支えになる

子どもが何かを話してくれると、ついあれこれ言ってアドバイスしたくなります。私自身も、ことにわが子となると余計にあれこれと話して聞かせようとしたくなります。

でも、子どもはただ耳を傾け、言ったことを繰り返してもらえるだけでおのずと解決策を見出したり、一歩進めたりすることがあります。寄り添って〝聴く″ことが心の支えになっているのです。

繊細さを持つ子たちはことにいろいろな場面に慣れるのに時間がかかってしまうだけでなく、これを言ったらどう思われるだろうか、話す自分を受け入れてもらえるだろうかとドキドキすることも多くあります。

思いや考えがないのではなく、不安を抱えていることがほとんどです。そんな時、話を聴き受け入れてもらえると自分の思いを自信を持って言えるようになります

また、実は決めたことをやり抜こうとする芯の強さも持ち合わせています。だからこそ思いに寄り添い「大丈夫だよ」と見守ってあげたいと私は感じます。みなさんはいかがでしょうか?

ゆきほ/ライター

そういえば、先程のエピソードの彼女、今はとっても頼りになる優しくてステキなお母さんなんですよ!

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この記事を書いた人

黒田ゆき保のアバター 黒田ゆき保 ママトコネットライター/キッズコーチング®トレーナー

全ての子どもに『自分らしく生きる力』を。新しい一歩を安心して踏み出せる『心の居場所』を提供。不登校児や特別支援児のサポート、自然体験・野外体験活動指導者として、様々な組織のキャンプの企画に参画。 青少年育成ボランティアの養成にも力を入れ、延べ1万人以上の子どもたちと関わる。

外遊びと絵本、工作と文房具好き。

キャンプディレクター1級/ comfortable place 代表。1児の母。

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