「ちゃんと」「きちんと」はのれんに腕押し。具体的な言葉に入れかえる
「ちゃんと片づけて」「もっときちんとしなさい」「しっかり頑張るのよ」
日常で親がたびたび子どもに使いがちなフレーズは、得てして子どもにはピンと来ないものだったりします。
ちゃんとってどんな状態のこと?きちんとどんな感じ?しっかりってどんな風にかな?…これが子どもの率直な感想であることも多いでしょう。
熱量を込めて子どもに言い聞かせても伝わりづらいこういった曖昧な表現は、ぜひ具体的な言葉に入れかえてみてください。
大人と子どもが同じイメージを持てる、とてもシンプルで簡単な方法です。
はっきり頭に浮かぶ情報量を増やせば子どもの行動は変わる
人は情報の5割以上を視覚で取りいれています。
子ども本人にとって目に浮かぶような具体的な言葉で指示してあげることが鍵となるのです。
言葉を変えるだけで、親が伝えたいニュアンスをスムーズに子どもが理解し、行動に移せることも増えるというわけです。
「床に落ちているものがゼロになるように片づけてね」と伝えれば“ちゃんと”片づけられますし、
「背筋を伸ばして椅子に座ろうね」と声をかければ“きちんと”姿勢を正すことができます。
「よく問題文を読んで、大事なところに線を引くといいのよ」と教えてあげれば、“しっかり”テストに取りくむヒントをわが子に届けられることでしょう。
何回言ったら分かるの?と
これまでわが子に歯がゆい思いをしていたのは、
実は伝え方にひと工夫加えるだけで
解決できる種類のものだったかもしれませんね♪
みんな一列に並んでいい笑顔のカメラ目線!例えば子どもの集合写真を撮るときは
私は0歳~6歳を対象としたリトミック教室を主宰しています。
レッスンの中で集合写真を撮るシチュエーションも多くあります。たくさんの小さな子どもたちが一斉に並んでこちらを見てにっこりしてくれる瞬間は皆無に等しいと言ってもいいでしょう。
特に2歳までのクラスでは、お互いの顔を見合わせながらおしゃべりしてしまう仲良しさんもいれば、離れた場所からカメラを向けているママの方にてくてく歩いてくる甘えん坊もいます。
立っている足元の床の汚れに目が行って爪でごしごしこすり取ろうとしてくれる綺麗好きちゃんもいれば、いつもと違う楽しげな雰囲気にたちまちテンションが上がり、列から抜けて走り回ってしまう冒険家くんもいます。
必死で「ちゃんと並んでー!」「もうちょっとそこに立っててー!」と遠くから呼びかける母たちの声を尻目に、子どもたちは自由気まま。よくある状況ではないでしょうか。
少しでもいい写真を撮るためにここで使うと有効なのが、やはりこの具体的な声かけです。
「お背中ぺったん!磁石の魔法だよ!背中が壁にくっついちゃったよ」
「お背中くっついたまま、おめめはママの方向けるかな?」
「にっこり、かわいいお顔見せて~!」
「5数える間はそのまま、にっこりだよ!先生と一緒に数えてもいいよ」
といったように、子どもたちにして欲しい行動を細かく分けて、ひとつひとつをイメージの湧きやすい表現にして伝えるというわけです。
全員がいい笑顔でカメラ目線になる奇跡の瞬間はそうやすやすとは訪れませんが、曖昧な言葉を繰り返し遠くから叫んでいるよりはずっと、成功率が上がります。
伝えたいメッセージは目に見えるようなイメージで。言葉を変えれば子どもに届く
子どもが言うことを聞かないのは話を聞いていないからではなく、理解できないからかもしれません。
伝えたい内容は、とにかくはっきりと頭に思い浮かぶような表現で。そうすれば親子の意識、感覚のずれも防げて、子どもの心に届きます。
そしてまた、言葉を変えるだけで行動が変わるのは、実は親子関係だけでなく、もしかすると夫婦間、友達とのコミュニケーションにも当てはまるセオリーかもしれません。
ぜひ、今日から試してみて下さいね。日常のヒントとなりますように。