海外で子育てをしていると、その方法の違いに驚くことがあります。日本では見かけない便利グッズが素敵に見えることも。住んでいる国の文化を取り入れるのは楽しいことですが、気をつけなければいけないこともあります。
日本でNGとされていることを病院でやっていてびっくり
皆さんは、生まれたばかりの赤ちゃんがうつ伏せで寝ているのをみてどう感じますか?日本では、乳幼児突然死症候群との関連が指摘されていて、首座り前のうつ伏せ寝はあまり推奨されていません。
ところが私がハンガリーで出産したときは、うつ伏せ寝をさせるように指導があり驚きました。2ヶ月早産の未熟児だったため呼吸が楽なようにとのことでしたが、翻訳アプリを使いながら、たどたどしいハンガリー語で乳幼児突然死症候群についての危険性を看護師さんに必死で訪ねたことを今でも思い出します。
看護師さんからの答えは簡単なものでした。「呼吸を感知するセンサーをつけているから大丈夫」とのこと。”うつ伏せ寝”と”センサー”は必ずセットで導入されるものだったのです。
“呼吸センサー”ありきの“うつ伏せ寝”
赤ちゃんの呼吸を感知するセンサーは日本でも手に入りますが、赤ちゃん全員が使っているかというと普及率はそこまで高くないようです。かなり大きな専門店か、Web通販でしか手に入らないかもしれません。
ハンガリーでは、どんな小さなお店でもベビー用品の店であれば必ず何種類かは売っています。大きな食料品スーパーのベビーコーナーでも取り扱いがあるほど身近です。経済的な理由で購入できない場合は、病院が貸し出しする制度もあります。
「大人がそばにいて気をつける」のような根性論ではなく、制度としてセンサーの導入が“あたりまえ”でした。その上でのうつ伏せ寝の推奨だったのです。
文化の輸入は“まるごと”が鉄則
海外の文化を取り入れるとき、一部分だけを切り取って取り入れるのは危険です。
食事に例えるとわかりやすいです。韓国風焼肉はお肉だけでなく、同時に机いっぱいにならべられる大量のナムルと一緒にたべるもので、全体でバランスが取れています。スパイスたっぷりのインドのカレーは、整腸作用のあるラッシーが必ずセットです。それをお肉だけ、カレーだけ取り入れてしまうと、バランスが取れず不調をきたしてしまうことは想像できると思います。
うつ伏せ寝の場合も同じです。うつ伏せ寝を取り入れる場合は、呼吸センサーもセットで取り入れることが大切です。そうすれば「日本では良くないと言われているのに大丈夫かな?」という不安も払拭できるでしょう。
反対に、かわいいから使ってみたい!と思って買った、日本にはない珍しい抱っこ紐も、日本人の私の体格には全くあわなかったということもありました。
違いには必ず理由がある。一歩踏み込んで背景を知ろう
海外で日本人が子育てをするとき、どこまで日本風にするか、現地の文化をとりいれるのかは難しい問題です。我が家は日本人同士の夫婦ですが、国際結婚ならなおのこと。双方の“当たり前”のちがいから、驚いたり悩んだりすることもたくさんあると思います。
基本的には両方の国のいいとこどりをすれば良いと思いますが、取り入れ方には気をつけましょう。表に見えている情報だけでなく「なぜそうなのか」という背景まで一歩踏み込んでみると大切なことが見えてきます。
カレーをたべるときにラッシーを飲むように、ぜんぶセットで取り入れるとよいですね。