よそ見をしながらジュースを飲む息子に「集中して」と声をかけました。息子は驚いてわたしの方を向いたとたん、ジュースをこぼしました。どんな声かけをすれば良かったのでしょう?
気づいたらもうこんな時間。それが集中。
「SNSを見ていたら時間が溶けてしまった」最近よく見かける表現です。ここで言う「時間が溶ける」というのは「気づかないうちにのめり込んで集中してしまった状態」と言えるでしょう。
集中とは、しなさいと言われてすることではなく、気がついたらそうなってしまっている“状態”のことを指すのです。
「子どもの集中力を伸ばしたい」「うちの子飽きっぽくて」というお悩みは多く寄せられます。集中というのがどんな状態かを理解すると、その答えも見えてきそうです。
人は興味があるものに集中する
わたしたちが思わずSNSに集中してしまうのには理由があります。もし画面に表示されるのが苦手なものや関心がないものであれば、画面を閉じるでしょう。
私の場合は、苦手なものは恐怖映像や昆虫、関心がないものは格闘技の技の名前などです。どれだけスクロールしてもこれらの情報しか出てこなければ、私がSNSに集中することはありません。
思わず画面を見続けてしまうのは、次々に関心のある情報(私の場合は美容やダイエットです)が流れてきて、もっと知りたいと思うからですね。
このことからもわかるように、集中するかどうかは、集中力の差ではなく「興味があるかないか」がポイントになります。
集中してほしいときは、邪魔な情報を減らそう
ジュースをこぼされたら困る!そんな思いから、よそ見をしながらジュースを飲む子どもに「集中して」と声をかけました。でもジュースには集中してくれません。子どもはジュースのコップを傾けたまま、声をかけたお母さんの方を向いてしまい、結果ジュースはこぼれました。これは先日の私の失敗例です。
人は大人も子どもも、関心のあるところに集中します。私は子どもに「集中して」と声をかけることで、子どもの関心を私に向けてしまいました。
このときの子どもの様子をよく観察していれば、やるべきことは明らかでした。子どもはテレビの画面が気になってよそ見をしていたのです。
だから「集中して」と声をかけるのではなく、黙ってテレビを消して、子どもの関心がジュースだけになるようにすればよかったのです。私はソファーをゴシゴシ拭きながら反省しました。
集中力と好奇心は、切っても切れない関係
しっかりと集中できると、勉強もはかどりそうだし、スポーツや遊びも怪我なくこなすことができそうです。だからこそ「子どもの集中力を伸ばしたい」と考える親御さんが多いのだと思います。
発達心理学では、集中力がぐんと伸びる時期は2歳ごろと言われています。それまでにさまざまな物をみたり、匂いを嗅いだりして五感に刺激を受け、実際に触って動かしてみるなどの経験が集中力につながるからです。
子どもの集中力を伸ばすためには、その前段階として、好奇心を満たしてあげる必要があります。子どもたちを観察してみると、どんな子でもすごい集中力を発揮する場面が必ずあるはずです。
関心のないことを無理やり長時間やらせるのではなく、大好きなことに熱中する時間を持ってください。きっと「うちの子、集中力がなくて」というお悩みはどこかへ行ってしまいますよ。
もし塗り絵に熱中しているなら、時には夕飯の時間を超えて塗り絵をし続けることがあってもOK。集中力のトレーニング中だと思って、さえぎらずに見守りましょう。