体調不良が起こったとき、原因を探して対処しようとするのが当たり前と思っていませんか?世界の文化に目を向けると、そんな当たり前がひっくり返りますよ。
頭痛は気圧のせい!夜泣きもぐずりも気圧のせい!
だんだんと暖かくなってきている日本では、新生活の疲れと相まって”五月病”の辛さを訴える人が増えてくる頃ですね。
頭痛もその症状の一つ。頭が痛いなと感じた次の瞬間、あなたの頭にはどんな考えが浮かびますか?
「疲れてるのかな?」「寝不足かな?」「少し冷えたかな?」「塩分取りすぎ?」などと、自分の生活を振り返って反省したり後悔したりすることはありませんか?
驚くかもしれませんが、ある国ではその原因は”気圧のせい”で片づけてしまうんです。
誰も悪くないし、反省も後悔も必要ありません。気圧のせいだから仕方ないね、と受け流すのも一つの方法なのです。
気候や天候が異なる環境で生まれた諦める文化
「気圧のせい」
これは、何を隠そう、私が約10年暮らしたハンガリーで学んだ考え方です。ヨーロッパ大陸の内陸に位置するハンガリーでは、気圧の変動が大きく、体調に影響を受ける人も多くいます。
日本では最近聞かれるようになった『天気痛』にあたる言葉が大昔から使われているし、市販薬もたくさん出ています。大人の頭痛だけでなく、レストランで子どもがぐずっていても「気圧のせいね」で片づけてしまうのです。
それは親だけでなく、周りのお客さんも同じ認識なので、誰もママを責める人や不愉快な顔をする人はいません。見守ってくれます。親としてはとても助かりました。
ある雨上がりの公園でのママ同士の会話です。
「昨夜うちの子全然寝なくて、寝不足だわ」
「うちもだよ。気圧がね〜」
「私も頭痛くてさ、気圧のせいだよね〜」
誰も反省したり責めたりしません。その代わり、改善策のアドバイスもありません。
日本だったら間違いなく「〇〇させるとよく寝るらしいよ」などの子育て情報の交換になりそうですが、そうならないのがハンガリーでした、
自分でコントロールできないもののせいにしてみる
心理学的に見てみると、自分でコントロールできること(起きる時間や食べるもの)と自分でコントロールできないこと(天気や世界情勢)を比べたとき、前者の方がストレスに感じやすいと言われています。
自分でコントロールできることに対しては「もっとこうすればよかった」のような反省や後悔につながりやすいからです。
一方、自分でコントロールできないことに対しては「仕方がない」と割り切りやすく、ストレス度も低くなるのです。
季節の変わり目に頭痛を感じている自分に対して「もっと栄養のバランスを考えて食べなきゃ」「運動不足かな」「大好きなチョコ、食べ過ぎかな」とダメ出しばかりしていては、さらにストレスが溜まって頭痛もひどくなりそうです。
頭痛がするのもやる気が出ないのも、気圧のせい、気候のせいにしてしまいましょう。自分を責めるのをやめて、ただ淡々と日常生活を続けているといつも間にか回復しているかもしれません。
自分責めにつながる原因追求思考を手放そう
「子どもに風邪をひかせてしまった」というのは日本のお母さんからよく聞かれる言葉です。この言葉の背景には、子どもの体調管理は親の責任だという考えがみてとれます。それと同様に「昨夜子どもが寝なかった」という現象も「自分は子どもをうまく寝かせることができなかった(ダメな)母親だ」と考えてしまう人が日本のママたちに多いように感じます。
今や世界中の工場で使われている「カイゼン」という日本発祥の言葉は、日本人の真面目さが生み出した言葉です。「どうしてこうなってしまったんだろう」とよくないことの原因を追求する考え方は、物事を改善してより良い方向に進むために欠かせません。しかし日常生活でそればかりに囚われていると、自分を責めることが続き、疲れてしまいます。
時には何もかも「気圧のせい」にしてしまいましょう。するとあら不思議。自分を責める回数が減るだけでなく、子どもを叱ることも、非常識な人にムッとすることも減り、笑顔で過ごせる時間が増えますよ。
応用編として、気圧以外に「満月/新月のせい」というのも使えます。子どもがなかなか寝ないときは夜空を見上げてみてください。満月かもしれませんよ