非認知能力シリーズ第5回は自立についてです。子育てにおける目標の一つとも言える子どもを自立させる方法についてみてみましょう
自立した大人になってほしい。そのために今できること
社会人になって実家を離れてひとり暮らしを始めると「自立した」大人への一歩を踏み出したように感じる方も多いでしょう。
自立とは文字通り、自分の力で立つということですが、これは経済的な側面だけでなく、精神的な側面での自立も含まれます。自分のことを自分で決断し、自分の行動に責任を持つことが精神的な自立と言えるでしょう。
その力は社会人になるずっと前、3歳ごろから基礎が育まれています。例えば、自分でやりたいと言ったことは最後まで責任をもって取り組むことや、日常の中にある小さな選択の一つ一つを自分で決めることなどがあげられます。
自分でやりたいという気持ちは自立心のめばえ
3歳はなんでも「自分でやりたい!」と言い始める時期です。
例えば「自分でお水をコップに汲みたい」と言って挑戦した結果こぼしてしまったとします。その場合、そのこぼれた水のお片づけまですることが責任になります。このように、自分の行動にきちんと責任を取ることこそが自立の第一歩なのです。
この年齢の子どもは、大人がやっていることは大抵自分も同じようにできると思っています。だから大きなペットボトルから小さいコップに水を汲むことも「自分で!」と言うのです。
とてもじゃないけどできなさそうだな、と思うことには大人であっても挑戦し難いもの。そもそも子どもはできる前提でいるからこそ、いろんなことを「やりたい!」とチャレンジできるのです。
実はこのやる気、そう長くは続きません。もう少し大きくなると、今度は失敗を嫌がったり、作業そのものが面倒だということに気づき始めたりするからです。
だからこそこの時期に子どもが「やりたい!」と言ったことは先延ばしにせず、積極的に経験させることで自立心の発露を助けましょう。
毎日は選択と決断の連続。一つ一つ向き合うことが自立につながる
やる気がこの時期限定なのはわかりました。
とはいえ忙しい夕食の支度中に「お手伝いしたい!」と言われると、お母さんとしてはうんざりしてしまうかもしれません。
そんな忙しいお母さんには、1日1分でできる自立心を育む方法をお伝えしましょう。
それは、毎朝自分で服を決めるということです。制服がある場合でも、長袖か半袖か、ジャンバーを着るか着ないか、靴下やハンカチはどれにするかなど選択する項目はあると思います。
暑いのか寒いのかわからない場合は、少し窓を開けて外気温を確かめてみてもいいかもしれません。大切なのは「自分で選ぶ」ということです。
自由時間に「なんでも好きなことで遊んでいいよ」と言っても「何して遊んだらいい?」ときいてくる子どもがいます。そういう子は提案された遊びがうまくいかなかったと場合「ママのせいで楽しくなかった」のように他責思考になりがちです。
「自分で決める」という経験こそが自立につながるのです。
かといって夕食の献立を決めるのはハードルが高すぎますね。まずは身近なハンカチや服を選ぶことが、簡単で確実な自立への第一歩となるのです。
小学3年生のお手伝いは家族が少し困るものを任せる
自立心を育むためには「自分で決める」経験が大切だとお伝えしました。3歳は自分でやりたい時期なので、お手伝いのスタートにも最適です。
その時期を逃してしまった方も安心してください。小学校3年生ごろにもまたお手伝いしたい時期がやってきます。
学校でも係り活動が始まり、仕事を任される経験をする時期。家庭では例えば、炊飯器のスイッチを押す、バスタブの栓を閉めておくなど、もし忘れたら家族がちょっと困るくらいのお手伝いをお任せしてみましょう。きっと責任感が育って、自立にまた一歩近づきますよ。
わが家の小学3年生の娘のお手伝いは、電子機器の充電チェックです。充電が少なくなったものはそれぞれの充電ポートにつなぐという仕事です。忘れると、家族だけでなく自分も困るので、こまめにチェックしています。