「ママ、だっこ~」と言ってくるのが1歳ではなく、
来月小学1年生になるわが子だとしたら?
今回は、「もう1年生になるんだからしっかりしなきゃ!」と思わず手を引っ込めて叱咤激励してしまう、そんなママにお届けします♪
「もう1年生だから」は親の都合。入学直前の甘えは賢い成長の証
入学が近づき、子どもにとって周りから「もうすぐ1年生だね!」「いよいよ小学生、楽しみね!」と言われることが増える時期ですね。
「1年生になったら一人で登校するんだよ」
「お弁当じゃなく、給食になるね!」
といった、今までとはガラリと変わる環境もほのめかされて、実は当の本人はオロオロしているかもしれません。
なぜなら、本人は1年生の4月を機に、自分の中の何もかもが魔法のように変わるわけはないと分かっているから。自動的に突然何か違った生き物になるわけではないとよく知っているからです。
そんな心の叫びが、今まで以上の強い甘えとなって行動に表れることもあるでしょう。心配だからママにすがりたくなる。安全基地で自分を守りたくなる。そんな心理です。
「もう1年生になるのにこんな赤ちゃんみたいで大丈夫?」と思うようなわが子の行動は、実は先を見越す想像力、豊かな感受性、聡明さの表れであり、成長の証拠でもあるわけなのです。
赤ちゃん返り?いえいえ、自立と甘えはセットです
逆説的に聞こえるかもしれませんが、子どもにとってステージが上がる成長の時期には、一方で小さな赤ちゃんのように甘える姿が頻繁に見られることが多いのです。なぜなら、自立と甘えはセットだから。
自立しようと頑張るとき、まず子どもは大海原に飛び出すためのエネルギーを蓄えようとします。それが、ママにべったりくっついて離れなかったり、抱っこをせがむという行為で表れます。そして世界を冒険し、波に揉まれ、泳ぎ疲れた時にはまたママのところに戻ってくるのです。
自立と甘えはセット。必ず繰り返します。子どもの成長過程でずっと続く、永遠のループです。
不安な気持ちが行動に。6歳男の子を救う、“いつでもぎゅーっと抱っこ”の法則
私は未就学児対象のリトミック教室を主宰しています。それまで親子分離で行っていたレッスンを、年長の冬頃から子どもによってはママと一緒の親子リトミックという形に変えることがよくあります。
ママに甘え、離れたくないという訴えがチラホラでてくる時期なのです。
「ママ、今頃弟と何してるかな」とレッスン中に急に口にしたり、離れ際にママに強く執着していたりする姿を見かけたら、ためらうことなく「今日はママと一緒の、ママリトミックの日にしようか」と声をかけます。
好奇心と創造力を持ち合わせた、無邪気なAくん。音楽が好きで、ピアノのリズムを真似したり、作曲して楽譜を書いたりするのが大好きな男の子です。毎回たくさんおしゃべりしながらみんなを笑わせるような朗らかな彼が、先日「今日はママと一緒がいい」と言ってママに抱き着いた状態で教室に入ってきました。
私は「そうね、たまにはAくんがやっていること、たくさんママに見せてあげようか」と声をかけ、ママ用の椅子や教具を準備しました。音楽に合わせて歩くのはママと手を繋ぎながら。リズムを打つときは、机に太鼓を置くのではなくママに支えてもらった状態で。ピアノの音を聴きわけお歌を歌うときはママのお膝の上で。何かできたときはすかさずママにぎゅーっと抱きついて喜びを表現。
帰り際には、すっかり満たされたピカピカの笑顔で「さようなら!先生、またね!来週はひとりで大丈夫!」飛び跳ねるように教室をあとにしたAくんだったのでした。
みんなの前で何を恥じらうこともなくべったり甘えるAくんが可愛すぎて笑ってしまうほど!
ママが大好きで甘えたい気持ちが溢れていたんですね。
きっと彼の中でせめぎ合っていた不安な気持ちが、いつでも温かく受けいれてくれたママのお陰で救われたのでしょう。
子どもは永遠にホームに戻ってくるもの。お母さんはどんと構えた安全基地でいて
子どもはいつまで甘えさせてもいいの?とふと疑問に思うママもいるかもしれません。
実は子どもは、大人になっても永遠に親に甘えるもの。大海原に繰り出していって冒険している時間が段々長くなっていくだけで、いつか本人のタイミングで安全基地に戻ってきます。エネルギーを充填したらまたくるりと背中を向けて旅立っていくものなのです。
寄せては返す波のように。子どもにとって甘えることは人生を生き抜いていくために欠かせないことです。年齢制限はありません。
子どもが甘えてきたら、「今頑張ろうとしているときなのね」と解釈して、躊躇することなく、ぜひいつでも両手を広げて歓迎してあげてくださいね。